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門司港レトロ(福岡県北九州市)

2023.01.06

明治初期に開港して、130年。
門司港には、明治から昭和初期にかけて建築された、趣のある建物が今でも残っています。
現在は門司港レトロとして九州の人気観光地の一つとなっています。

1. 大連友好記念館

大連友好記念館_01

柔軟性と強度を併せ持つ“ハーフティンバー様式”。日本でも古くから洋風住宅に導入されてきたスタイルです。

中国の遼東半島にある都市、大連市はかつて門司港とは国際航路で結ばれ交流が盛んでした。そして、昭和54年に両市は友好都市を締結し更なる交流を深めてきました。その友好都市締結15周年を記念し、ロシア帝国が明治三十五年(1902)大連市に建築した東清鉄道汽船事務所を、そっくり複製し建築されたものが大連友好記念館です。

【住宅様式】
建物の外観を見てみましょう。様式はハーフティンバーです。イギリスやドイツ、フランスの木造建築に多く見られるもので、特に15世紀から17世紀のイギリスではさかんに住宅に多用されていました。
壁と木造の部分が半々となる(半分木造の意味)ため、半木骨造とも呼ばれています。また、割られた材木を外部に見せるためにその呼称が付いたとも言われます。

【レンガの積み方】
レンガはイギリス積み。長手(長い面)だけの段、小口(短い面)だけの段を交互に積み上げる方式です。
積み上げたときの強度が高いことから、土木の構造物や鉄道の橋梁に用いられてきました。イギリス積みは明治に日本へ伝わってきたとされており、この建物はまさにその当時の時代背景を映しているようです。

イギリス積み

イギリス積み

【建物内部のタイル】
中に入るとアールヌーボー様式のタイルが床に張られています。花やツタなど植物を模したものや曲線的な装飾が特徴的です。

アールヌーボー様式タイル

張り合わせたデザインタイルの外側を別のタイルがぐるりと囲む「額縁と絵画の関係」。永きに渡りづつくタイルデザインの一つです。

奥に進むと暖炉が備えられています。

大連友好記念館暖炉

インテリアの細部にもタイルが使われています。

暖炉の左右にもアールヌーボー様式のタイルが張られています。白と青の柄物が、周りの石材との見切りとして全体を引き締めています。

暖炉タイルアップ

アールヌーボー様式のタイル

大連友好記念館公式ページはこちら

2. 九州鉄道記念館

九州鉄道記念館
明治21年、九州最初の鉄道会社として設立された「九州鉄道会社」は、合併や買収等によって、九州北東部の鉄道網をほぼ網羅し、日本有数の大企業となりました。明治40年7月1日に国有化されるまで、門司港から九州各地へと九州の鉄道網を形成しました。

【レンガの積み方】
こちらは1段にレンガの長手(長い面)と小口(短い面)を交互に組む「フランス積み」です。先ほどのイギリス積みと比べ強度が劣るとされていましたが、積み上げていくと長手の中央部分に小口がくる規則性がレンガを最も美しく魅せるということで、やはり明治の初期ごろにこぞって採用された方式です。
ちなみに富岡製糸場もこのフランス積みが施されています。

九州鉄道記念館フランス積み

九州鉄道記念館公式ページはこちら

文明開化を五感で感じる、門司港レトロ

門司港は行政と民間の協力のもと、1995年に『門司港レトロ』として生まれ変わり、今では年間200万人以上の人が訪れる観光地として、新たな歴史を歩んでいます。
他の建物も見て回りましたが、レンガのパターンはイギリスとフランスのどちらかでした。
今人気の門司港レトロ地区は、昔ながらの味わい深い建物が多く残っており、明治時代からの文明開化の頃に浸れる素敵な場所です。全体的な壮大さや美しさはさることながら、ちょっと視点を変えてレンガの積み方にフォーカスを当ててみるのも楽しいですよ!

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