100角タイルとは? 特長と選び方

CASABLANCA - カサブランカ(
品番: HA-CAS29421)
「100角タイル」とは、一辺がおよそ
100mm(10cm)の正方形サイズを基準としたタイルの総称です。
タイルの世界では、サイズによって施工性やデザインの印象が大きく変わりますが、100角は「大判とモザイクの中間」にあたる万能サイズとして非常に人気があります。
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目地割りが美しい:整った正方形がリズム感を演出します。
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色柄がしっかり映える:大きめサイズで釉薬の表情を楽しめます。
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施工の自由度が高い:アクセント使いや張り分けデザインにも対応できます。
選ぶ際は、カラーや質感、用途(キッチン、洗面、リビング、店舗など)、目地材の色との相性も重要なポイントです。
なぜ100角タイルは定番となったのか? 〜日本住宅史と文化背景から紐解く〜
現在では北欧やモロッコ風のデザインで再注目される100角タイルですが、日本においてこのサイズが広く普及した背景には、単なるデザイン性だけではなく、以下のような歴史的・実用的な理由があります。
1.戦後の住宅建設と「標準化」の流れ

昭和の浴室
1950年代以降の戦後復興期、日本では深刻な住宅不足を背景に、公団住宅や民間住宅が次々に建設されました。このような大量建築の時代には、内装材の
施工性・量産性・汎用性が強く求められ、「100角タイル」はその要件をすべて満たしていたのです。
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量産性:正方形で中型サイズの100角タイルは、機械による成形や連続焼成に適しており、効率よく製造できた
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汎用性:浴室・トイレ・洗面・キッチンなど多様な水回り空間に対応可能
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施工性:目地幅とのバランスが取りやすく、職人にとって扱いやすいサイズだった
2.JIS規格と建築モジュールへの適合

1960〜70年代、日本では製造業の発展とともに
工業製品の規格化(JIS化)が急速に進みました。タイル業界でも、実寸95mm、目地込み100mmの「100角サイズ」が標準寸法として定められ、以後、設計・施工の基準となります。
建築の「モジュール化」が進む中で、一坪風呂や規格キッチンといったパーツ設計にもぴったり合うことから、設計図面上でも扱いやすい建材として定着しました。
3.水回りに適した素材・性能

割れても同じサイズで補修がしやすい
日本の住宅は湿気が多く、特に浴室やトイレなどの水回り空間では、
清掃性・耐水性・耐薬品性が重要です。100角タイルは以下の点で理にかなっていました。
- 壁のカーブや出隅・入隅への対応がしやすい
- 釉薬により滑りにくく、水を弾く性能に優れる
- 補修時に必要な「単品ストック」がしやすく、継続利用しやすい
このため、1990年代初頭までの一般住宅や公共施設では、浴室・トイレの標準仕様として100角タイルが採用されていました。
4. 住宅様式とデザイン嗜好の変遷

100角タイルは、そのデザイン性でも「安心・信頼」の象徴でした。昭和後期〜平成初期にかけては、
白の100角が清潔感や衛生意識の象徴とされ、住宅カタログや展示場でも多く採用されていました。
また、施工例が豊富でパターン展開もしやすいため、リフォームや改築でも「とりあえず選んでおけば間違いない」という存在に。時代背景として、
シンプル=機能美と捉えるモダニズム的価値観の影響も大きかったと考えられます。
5. 現在の位置づけと今後の展望

学校の洗面台
近年では、システムバスの普及やタイルの多様化(例:サブウェイタイル、六角形、大判タイルなど)により、100角タイルの使用頻度は減少傾向にあります。
しかし、以下のようなシーンでは今も根強い人気があります:
- 病院・学校・公共トイレなどの施設設計
- 和モダン・レトロを意識したリノベーション
- 昭和・平成初期デザインへのノスタルジック需要
また最近では、釉薬や表面仕上げにこだわった「現代風の100角タイル」も登場。
リアド や
カテドール のように、伝統を活かしながらも新しい感性を取り入れた商品も展開されており、
リバイバルの兆しも見られます。
100角タイルの主な用途とデザイン例

名古屋モザイク工業 エスマルタード(品番:APC-G1050)
100角タイルは以下のような空間で活躍します。
- キッチンの壁面・バックパネル
- 洗面所のアクセントウォール
- リビングのアクセント壁
- カフェや店舗のカウンター立ち上がり
カラータイルを張り分けたり、目地材でコントラストをつけることで、オリジナリティあふれるデザインが実現できます。
100角タイルはこちらから
おすすめの100角タイル6選

DYROY - ディロイ(品番:HA-DYR29005)
深みのあるグラデーションがオーロラを思わせるような神秘的な表情を演出します。高級感ある北欧風空間におすすめです。

カテドール(品番:CTD-04)
ガラス釉薬の艶と透明感が魅力。鮮やかな色彩で光を取り込み、モダンでラグジュアリーな仕上がりに。

オーシャンブルー(
品番:Carib Blue)
深海から浜辺への青系グラデーションシート。南国リゾートを思わせる開放感を水回りやプールサイドに。

シエナ(左から 品番:S471,S479,S462)
メキシコタイル職人の手仕事を再現したハンドメイド調デザイン。鮮やかなパターンで異国情緒を演出。

リアド(品番:RID-100-9)
モロッコ伝統色をイメージした釉薬。温かみのある色むらと不均一な表情が魅力。

コットエコローリII
素朴なメキシコタイルの風合いをシンプルな単色釉薬で表現。多彩なカラーで浴室やキッチンにも最適です。
100角タイルの比較ポイント
用途や雰囲気、デザインの特徴を比較して、自分に合った100角タイルを選びましょう。
| 項目 |
DYROY |
カテドール |
オーシャンブルー |
シエナ |
リアド |
コットエコローリII |
| 特徴 |
グラデーションがオーロラのような高級感を演出 |
ガラス釉薬の艶やかに光を取り込む |
グラデーションシートで南国リゾート風 |
メキシコ職人風のハンドメイド調デザイン |
モロッコ伝統色を再現した温かみのあるタイル |
素朴な単色釉薬で豊富なカラーバリエーション |
| 推奨用途 |
キッチン、洗面、店舗壁面 |
住宅や店舗の壁面 |
プール、水回り、屋外装飾 |
玄関、カウンター、店舗壁面 |
キッチン、リビングのアクセント |
浴室、キッチン、店舗など |
| 雰囲気・テイスト |
高級感、北欧オーロラ風 |
モダン、ラグジュアリー |
南国リゾート感 |
メキシコ・トラディショナル |
モロッコ風、暖かみ |
シンプル、素朴、温かみ |
まとめ
100角タイルは、キッチンや洗面所、リビングのアクセントウォールなど、さまざまな空間を印象的に彩る建材です。カラーやパターン、目地材の選択、張り分けデザインを工夫することで、理想のインテリアを実現できます。
タイル選びに迷った際は、施工事例やSNSなどを参考に、自分にぴったりのデザインを探してみましょう。
また、サンプルを取り寄せ、質感や色味を確認しながら選ぶことで、理想通りの仕上がりを叶えられます。
当ショップは創業60年以上の老舗タイルディーラーとして、豊富な知識と実績を有しています。お客様のご希望に合わせた商品提案や、メーカー在庫がない商品の手配交渉、類似品探しなどもお手伝い可能です。どうぞお気軽にお問い合わせください。
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