様々なカラーと形状、ユニークな柄や質感。個性にあふれるタイルの面白さはすでに言わずもがな!ですが。
その影の立役者「目地(めじ)」について皆さんはどのくらいご存じでしょうか?
タイルにとって「目地」はとても重要で大切な存在。防水性や耐久性、美観など「タイルデザインを長く綺麗に保つ」ということに、大きな影響を与えているのです。
本記事では、そもそも目地とは?というところから、タイルを施工する際に必要な目地の基礎知識と選び方、パターンについて詳しく解説します!
目地を知ることで、より一層タイルデザインの面白さと奥深さを知っていただけるはずです。
目地の役割と意味
そもそも目地とは?
建築物や土木構造物において、複数の部材を組み合わせる際に、その間をあけて設けられた隙間のことを、目地(めじ)といいます。目地はタイルの間に水が浸入するのを防ぐ重要な役割を果たします。
特に、タイル、石、レンガ、コンクリートブロックなどを積み重ねる際にできる継ぎ目を指すことが多く、この隙間を埋める材料を、目地材(めじざい)と呼びます。
防水性の確保
目地はタイルの間に水が浸入するのを防ぐ重要な役割を果たします。特に浴室やキッチンなど水回りの場所では、防水性の高い目地を使用することで、水漏れやカビの発生を防ぎ、建物全体の耐久性を保てます。
美観の向上
目地はタイルの美観にも大きな影響を与えます。適切な目地の色や幅を選ぶことで、タイルのデザインを引き立て、空間全体の美しさを高めてくれます。例えば、白やグレーの目地を選ぶことでシンプルで清潔感のある仕上がりになり、カラフルな目地はタイルの装飾性をアップさせます。
収縮・膨張の吸収
建物は温度や湿度の変化によって収縮や膨張を繰り返します。目地はこの動きを吸収することで、タイルがひび割れるのを防ぎます。特に外装タイルでは、この機能が非常に重要です。
歴史に見る目地
古代ローマのモザイク:
古代ローマのモザイク画では、小さなタイルを組み合わせることで、緻密で美しい絵画を描きました。このモザイク画の目地は、単にタイルを固定するだけでなく、絵画の輪郭を際立たせる役割も果たしていました。
日本の伝統建築:
日本の寺社仏閣の瓦屋根にも、目地が見られます。これらの目地は、瓦のズレを防ぎ、雨水の浸入を防ぐ実用的な役割だけでなく、建物の美観を向上させる役割も果たしていました。
建物は温度や湿度の変化によって収縮や膨張を繰り返します。目地はこの動きを吸収することで、タイルがひび割れるのを防ぎます。特に外装タイルでは、この機能が非常に重要です。
目地材の選び方(外装用)
外装用の目地材を選ぶ際には、目地の入れ方が大前提となります。また目地幅に応じた骨材の大きさなどにも考慮して選択するのが良いでしょう。
塗り目地? or 一本目地?
タイルの表面がフラットな場合は、目地材をタイルの表面に塗り込んで目地を詰め、余った部分を拭き取って仕上げる「塗り目地」という方法で行います。その場合は汎用的なセメント系目地材を使用するのが一般的です。
一方、タイルの表面がラフな場合は塗り目地ができない(表面を拭き取ることが困難)ので「一本目地」という方法で目地入れを行います。
一本目地は、生クリームを絞るときに使うような「目地パック」という道具を用いて、目地を一本ずつ詰めていく方法です。詰めた目地は目地ゴテで抑えて仕上げるのですが、この目地の仕上げ方によって雰囲気はとても変わってくるのが外装の、特に一本目地の面白いところともいえます。
外装用の目地材には「塗り目地用」「一本目地用」「兼用」などの商品説明記載がありますので、必ず確認するようにしましょう。
カラーバリエーション豊富なブリック専用一本目地|MT-MEJI
ブドウの “蔦” をイメージした目地デザインをつくる|グレープバインジョイント専用コテ
目地幅の考慮
小さな骨材の内装用目地材を太い目地幅で使用すると、硬化する過程でクラックが入る可能性があるため、おすすめできません。
目地材の選び方(内装用)
内装用の目地材を選ぶ際は美観と耐久性が重要なポイントです。内装は人目に触れる機会が多いため、見た目にこだわることが大切です。
色合いの選択
内装用の目地材は、タイルの色やデザインに合わせて選ぶことが重要です。目地の色がタイルと調和することで、全体のデザインが一層引き立ちます。例えば、白いタイルには白やグレーの目地を選ぶことで、シンプルで清潔感のある仕上がりになります。
耐汚れ性の重要性
内装では汚れがつきにくく、掃除がしやすい目地材を選ぶことが大切です。特にキッチンや浴室では、目地が汚れやすい場所となるため、耐汚れ性の高い目地材を使用することで、清潔な状態を保ちやすくなります。
柔軟性の考慮
内装では建物の動きに柔軟に対応できる目地材を選ぶことが重要です。建物は日々の温度や湿度の変化によりわずかに動くことがあります。この動きに対応できる柔軟性のある目地材を使用することで、目地のひび割れを防ぎ、長期間にわたり美しい状態を維持できます。
合板下地や床暖房上への施工に最適|スーパークリーン インテリアフロアII
目地パターン
目地パターンはタイルの配置方法であり、タイルの見た目を大きく変える要素です。また、目地パターンの選び方によって空間の雰囲気やデザイン性を大きく変えられます。代表的な目地パターンをいくつか紹介します。
ストレートパターン
ストレートパターンはタイルを直線的に並べる方法です。このパターンはシンプルでモダンな印象を与えます。特に、モダンなインテリアやミニマリストなデザインに適しています。
ヘリンボーンパターン
ヘリンボーンパターンは、V字が一方向に向かって直線的に連なっている配置スタイルです。このデザインは、魚(ニシン)の骨のような形に見えるため、「ヘリンボーン」と呼ばれます。ヘリンボーンパターンは視覚的に魅力的で、空間に動きやダイナミズムを与えると同時に、クラシックでエレガントな印象を与えてくれます。
モザイクパターン
モザイクパターンは小さなタイルを組み合わせてデザインを作る方法です。このパターンは装飾的で独創的な印象を与えます。特に、バスルームやキッチンのアクセントウォールに適しています。
目地による印象の違い
目地の色や幅を変えることで、タイルの印象も大きく変わります。目地の選び方によって、空間全体の雰囲気をコントロールできます。しかし、目地の選び方を誤るとタイルのデザインが損なわれることがありますので注意が必要です。
目地の色と幅による印象
目地の色や幅を変えることで、タイルの見た目を大きく変更できます。タイルと目地の色にコントラストをつけるとタイルが強調され、視覚的なインパクトが増します。一方でタイルと同色系の目地を選ぶと、シームレスで統一感のある仕上がりになります。また、目地幅を広くするとタイルの存在感が増し、狭くするとタイルが一体化して見える効果があります。これらの要素を考慮して、目的や好みに合わせて目地を選びましょう。