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加工タイルの魅力 – 役物タイルとトメ加工 美しい出隅(角)の仕上がりを実現する加工技術を徹底解説

公開日: 2024.12.10 | 最終更新日: 2024.12.10

本当は大切な「出隅(でずみ)」の処理

タイルを使った空間づくりには、見落とされがちな重要なポイントがあります。それが「出隅(でずみ)」の処理です。出隅とは、壁や柱などの外側に飛び出した角部分を指します。この部分を美しく仕上げることで、空間全体の完成度が大きく向上します。この記事では、出隅を仕上げるために使われる「役物タイル」について、その特徴や選び方を詳しくご紹介します。インテリアの質を一段と高めるヒントとして、ぜひ最後までお読みください。

出隅とは

でずみ
出隅は「でずみ」と読み、壁や柱などの外側に突出した角部分を指します。出隅は目立ちやすく、人が頻繁に触れる場所であるため、美観と安全性の両面で適切な処理を施すことが重要です。
さらに、物理的な衝撃や摩耗が発生しやすい箇所であることから、正しい処理を行うことで耐久性を向上させ、美しい状態を長く保つ工夫が求められます。

出隅の処理の種類

出隅の処理の種類は「出隅専用のタイルを使う」か「平物タイルを後から加工する」の2パターンがあります。

[1] 出隅専用のタイルを使う
出隅専用のタイルを使うケースでは、役物タイルを使用します。役物は「やくもの」と読みます。役物タイルには出隅専用のタイルとして作られているものがあり、以下の特徴があります。
● 出荷時に、角にフィットする形状に加工されている
●「L字型」や「R加工された丸いタイル」が一般的で、美観と機能性を兼ね備えている

[2] 平物タイルを後から加工する
平物タイルを後から加工するケースの多くは、専用の役物が売っていない場合が挙げられます。大判タイル使用時に多く見られ、その場合は使用したい平物タイルを出隅に使う数量だけ加工することとなります。平物タイルの角の加工は「トメ加工」と呼ばれます。

次から、役物タイルとトメ加工について詳しく説明していきます。

役物タイルの種類とトメ加工

役物タイルとは平物タイル以外の特殊な形状のタイルのことで、焼き出しの過程で既にその形になっているものが多くあります。出隅に使用される役物としては以下のものがあります。
※出隅以外に使用する役物タイルは多くありますが、ここでは出隅に関わるものをピックアップして説明します。
[1] 面取りタイル

面取りタイルは、タイルの四辺や角にわずかな斜面(緩やかなカーブ)を施したデザインのタイルです。この加工により、接合部分に独特の立体感や陰影が生まれ、高級感のある仕上がりになります。また、面取り加工により角が滑らかになるため、割れや欠けが生じにくく耐久性が向上するのも特徴です。

[2] 竹割りタイル
竹割
竹割タイルは、竹を縦に割ったような美しいR形状が特徴のタイルで、角を滑らかにする効果があります。主に壁面装飾やカウンタートップに使用されます。装飾的な使い方もおすすめで、細長いライン形状がアクセントとなり空間にリズム感と動きを与えてくれます。竹割タイルに対応したタイルの品番は多くありませんが、モザイクタイルなどに専用のものが用意されているケースがあるので探してみてください。

[3] 三角出隅タイル
三角
竹割タイルと併用することが多く、突起部分を収める時に使用します。丸みがあって可愛い印象があり、タイルの耐久性と安全性を高めます。竹割りタイルと同じく対応しているタイルは少ないので注意が必要です。

[4] ボックスタイル
ボックス
立方体の3面だけ取り出したような形状のタイルです。こちらは平物タイルを焼いた後に、3枚を立体的に貼り合わせた「接着型」が一般的です。職人の方が、タイルの色に合わせた接着剤を調合して貼り合わせるため、仕上がりが自然で美しいといった特徴があります。竹割りタイル+三角出隅タイルは丸みを表現するのに適していますが、ボックスタイルは適度な角があるためシャープな空間表現に適しています。よくある使用例としてはカウンタートップやスツールの角などに用いられます。

[5] 曲りタイル・マグサタイル

曲りタイル・マグサタイルはいずれも、椅子のように折れ曲がった形状(L字型)のタイルのことを指します。曲りは短辺で折れ曲がり、マグサは長辺で折れ曲がっています。
ボックスタイルと違って、3面ではなく、2面のタイルが立体的に接合されたタイルです。

このタイルの成形方法は大きく分けると2種類あり、工場生産で焼き上げる時に既にその形になっている「一体成型」と、そうではない「接着型」があります。
曲がり

「接着型」も正確には、焼き上がったタイルをカットしながら加工する「製品接着」と、焼成前に一体化させて焼き上げる「生接着」の2種類がありますが、前者の「製品接着」が一般的です。ボウクス タイルマーケットにも「接着型」のタイルがもともと用意されているものもありますが、「接着型」のタイルが品番に含まれていない種類のタイルは別途加工が必要になります。
トメ加工
加工の方法として挙げられるのが「トメ加工」です。トメ加工は、タイルの角をそれぞれ2枚同じ角度(45°~135°の間)でカットし、タイル同士を接着剤で接合します。加工工場で処理するため、接合部分を目立たせずに仕上げることができます。その場合、受注後の加工対応になり金額や納期が変わってくるので、初めての注文の際は、必ず先にお問い合わせをしてからご注文していただくようご注意ください。

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ボウクス・タイルマーケットは、曲りやマグサなど、様々な役物タイルを取り扱っています。掲載がない商品もお気軽にお問い合わせください!

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タイル
タイルの加工技術「役物」と「トメ加工」について、いかがでしたでしょうか?出隅を美しく仕上げるための工夫が、インテリアの完成度を大きく左右することがお分かりいただけたと思います。役物タイルやトメ加工を取り入れることで、見た目の美しさだけでなく、耐久性や安全性も向上します。細部にまでこだわることで、空間全体が一段と洗練された印象に仕上がりますね。ぜひ次回のリフォームやDIYの参考にしてみてください。

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